八重畳(やえたたみ)
これは、御霊代(みたましろ)奉安の神座のみに使われるもので、天皇の日常に使用される事は必ずない。繧繝厚畳の台と、表面に張る繧繝縁付き上敷きの間に6枚の繧繝縁のついた茣蓙を入れ、台を含め、八重に重ねた状態を表現している。
また、大嘗宮(だいしょうみや)の神座に使われる八重畳は、四方白縁の薄縁を八枚重ね、坂(さか)枕(まくら)とする。
八重畳の造作
材料
- 畳表 1枚半+半畳6枚
- 畳床 厚みのある物 半畳1枚
- 繧繝縁(古式に則った黒筋の入った繧繝縁縁)
- 框板 10枚程度
- 和紙 それに近い物
- 厚み調整用のござ半畳1枚
道具
畳製作に必要な道具一式 曲ざし
工程1.採寸を決定する
- 基本的には厚畳の作り方によるものだが、6枚の茣蓙を挟み込んで一体の文様とするため、それを見込んで台の寸法を確認する。
工程2.台を作る(一畳台程度のものになる)
- 後に調整が可能になるように、最初、寸法より薄い目に作ったほうが良い。
- 作り方は、厚畳と同じ
工程3.表面の上敷き
(繧繝縁の使い方について)
高麗紋の場合(大紋・中紋)、丸紋を基準におくが、
繧繝縁は、丈の決まりはないが、
必ず黒筋の部分を丈の中央にもってくるのが原則。
また、菱文様の縁部分の載せ方だが、一定の決まりはない。
- 畳表を上面・側面・底面のあたる長さをもって準備。
- 繧繝縁の中は、僅かな綿を挟んで作ることが好ましい。
- 繧繝の黒筋の部分が中央に来るように平刺しをする。
- 返しの時に筋文様が畳目に対し、必ず直角になるように注意
工程4.6枚の茣蓙を作る
- 中に入れる6枚のござは、表面の表に対して縦にいれる。
- それぞれ、台の寸法に正確に切り、口が痛まないように保護しておく。
- 6枚のうち、1番上になる表から表面の上敷きの文様に合わせ、少しずつずらして、縁を準備する。
- 縁のつけ方は、従来の平刺しをせず、側面から被せるようにして木綿糸で留めていく。
隅も嵩張らないように調整して留める。 - 2枚目、3枚目と文様を端から端まで気を配り縁をつける。
- 6枚とも、仕上がれば、仮に水平な場所に置き、表面の上敷きも合わせて文様を曲ざしで直角なども確認する。
工程5.台に受けござを付ける
- 6枚の茣蓙に続いて台につける受けござの繧繝の文様があうように位置を確認して、受けござに縁を付け、台に取り付ける、(厚畳の場合と同じ)
- 縁で包んだ台の上に1まいづつござを載せ、所々絎けておく。3枚載せ終わるとその上に、幅の両縁分小さい寸法のござを厚み調整用に挟み込む。
- 続いて、4枚、5枚、6枚と重ねる。
工程6.表面の上敷きを被せる
- 表面の上敷きを載せ、表を適当に張りながら、台全体を裏に返してもも綴じで留める。(厚畳の場合と同じ)
- 最後に挟んだござの部分も含めて、表面のござと台を絎けて留める。