香川県高松市研修(自治会館)
2月11日(土)~13日(月)、高松市内の自治会館をお借りしてTTMクラブ研修会が開催され、全国から総勢30名の畳職人が集まりました。
今回の課題は「厚畳(あつじょう)」でした。過去にもTTMクラブの研修会で同様の厚畳を造っていますが、今回の厚畳は、それよりも遥かに秘密的な技術も多く取り入れ、繧繝錦を使用した神座用の二方縁一畳台と、寺社で使用される高麗大紋縁の二方縁二畳台となりました。今回の参加者にも、全く初めて厚畳を造られる方や、工法の違う厚畳を経験された方も多く居られましたが、3人~5人の7チームに分かれ、それぞれ本格的な厚畳に仕上げて頂きました。本来なら1人で1台を造るのが理想ですが、時間や会場の都合もありまた、経験度の異なるメンバーで同じものを作り上げることは、各自に負担も少なくなると共に、助け合い教え合いして、それはそれで自身の勉強にもなってくれたと思います。
形状としては、過去の厚畳と変わりませんが、細かな作業や理論的な考え方を取り入れることで、仕上がりの完成度が高まり、遥かに美しくなります。それらの工法により、3日目の午前中にはそれぞれ立派な厚畳が完成しました。
初日の夜に行われた夜学では、昨年秋に私含める奈良県の同業者と共に特別に見せて頂くことが出来た、奈良斑鳩(いかるが)にある法輪寺の「龍鬢の褥(りゅうびんのじょく)」の報告を行いました。これは、今から1400年前に推古天皇が使用されたと伝わるもので、現在にも岡山や福岡で造られている花筵(はなむしろ)の最古のものです。染色した藺草を織り混ぜた斬新なデザインで造られ、また今の時代には到底不可能な二連の中継ぎをして機織りされたものです。
実は前回の愛知県内でのTTM研修会の夜学で紹介した「たたみの起源」に続く話題のものになります。畳業界では、奈良正倉院に現存する聖武天皇の「御床(ごしょう)の畳」の残欠が最も古い畳との定説がありますが、それより遥か以前に藺草で機織りした藺筵(いむしろ)や稲藁等を編み込んだ畳の芯材の歴史があるのです。これらは紀元前からの日本を取り巻く世界の歴史の中で産まれたものとTTMクラブでは更に研究を深めています。
この様な深い話の中で、それぞれの参加者の想いで最高級の技術を学んで頂きました。今回の参加者の皆さん、とてもお疲れ様でした。また今回幹事をして頂きました高松の山下畳商店の皆様には大変なお世話を頂きましたことも厚く御礼申し上げ報告と致します。
尚、次回の開催は「東京」を予定しております。どうぞ多くの参加者をお待ちしています。